富士フイルム「FinePix F80EXR」と防水プロテクター「WP-FXF80」に、イノンのS-TTLストロボS-2000とクローズアップレンズを装着してテスト撮影してきました。小型高性能ストロボ「S-2000」を使って、内蔵フラッシュとは違ったワンランク上の写真を、簡単に撮る方法を紹介します。
富士フイルムFinePix F80EXR S-2000でストロボはじめるテクニック! | ★「A絞り優先モード」か 「Mマニュアルモード」を選択 ★絞りは「F9」~「F16」に設定 ★ISO感度は「200」以上にセット ★S-2000のEV.コントロールスイッチは 「B」が基準位置
さらに ★光学10倍ズームと 2種類のクローズアップレンズで 望遠マクロと超拡大マクロ
※上記はS-2000ストロボ使用時
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| FinePix F80EXRにイノンのS-2000ストロボを組み合わせてS-TTL撮影する場合、撮影モードの中から「A絞り優先モード」か「Mマニュアルモード」を選びましょう。さらに、絞りをF9~F16に設定すると、ストロボ光の効いたメリハリのある画像が得られます。ISO感度は「200」以上にセット。「800」の高感度側でもS-TTLが自動的にストロボの光量を調整してくれます。S-2000ストロボの発光量を微調整する「EV.コントロールスイッチ」は、基本的には「B」で適正露出が得られます。 |
「A絞り優先モード」か「Mマニュアルモード」にして絞りをF9~F16に設定 |
FinePix F80EXRには、自然な色合いで鮮やかに水中を再現する「水中モード」が搭載されています。内蔵フラッシュや自然光で撮影する時には、この「水中モード」が活躍します。 一方、S-2000ストロボを組み合わせて撮影する場合、カメラの撮影モードは「Mマニュアルモード」か「A絞り優先モード」を選択しましょう。さらに、絞り値を「F9.0」~「F16」の間にセットして下さい。外部ストロボの光がしっかりと効いた、メリハリのある画像が得られます。
撮影モードを「Pプログラムオート」で[MENU]を押して、「A絞り優先」に変更する
「Mマニュアル」
■絞りの変更方法
 |  |  | 十字ボタンの上の ±露出補正ボタンを押す | 絞りをF9以上に設定する 画面は「A絞り優先モード」 | 絞りをF9以上に設定する 画面は「Mマニュアルモード」 |
この場合、被写体から離れてしまうと、S-2000ストロボの大光量をもってしても光量が不足してしまいます。光量不足を避けるために、カメラのISO感度を「200」以上にセットして下さい。ISO感度は「800」程度まで高感度側にしても、S-2000ストロボのS-TTL自動調光が有効に働きます。
 ISO感度を「200」以上にセットする
FinePix F80EXRには、富士フイルム社が独自に開発を進めた「スーパーCCDハニカムEXR」が搭載されています。通常、ISO感度を高めに設定すると、撮影した画像に「高感度ノイズ」が発生し、画像が荒れてしまうのですが、「スーパーCCDハニカムEXR」であれば、ISO感度「400」の高感度に設定しても、撮影画像の荒れはほとんど感じませんでした。とかく光量が不足しがちな水中写真において、とても有利なカメラです。 ISO100
 | ISO200
 | ISO400
 | ISO800
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また、ISO感度を「400」に設定することで、FinePix F80EXRの中でも特徴的な機能である「ダイナミックレンジ」を、400%に設定することができ、明暗差の大きいシーンでも、白飛び、黒つぶれを抑えた階調豊かな画像を得ることができます。
ダイナミックレンジ400%で撮影
S-2000ストロボのEV.コントロールスイッチは「B」 |
S-2000ストロボの「S-TTL」自動調光は、好みの露出や、撮影状況によって異なる適正露出に合わせて、「ちょっと明るめ」「ちょっと暗め」の発光量を、ストロボ背面にある「EV.コントロールスイッチ」を回すだけで調節できます。 FinePix F80EXRの場合、標準では「B」の位置に合わせておき、少し明るくしたい場合は「A」で撮影、少し暗くしたい場合は「C」で撮影するとよいでしょう。
FinePix F80EXRでは、新たに「ホワイトバランス:水中」を選択出来るようになりました。これは、水中の美しい水の青色はそのままに、被写体をキレイで鮮やかに再現することができる、富士フイルム社独特のホワイトバランスです。この機能は、前機種のFinePix F200EXRまでは「水中モード」としてのみ使用可能でしたが、F80EXRからはホワイトバランスの一つとして選ぶことで、撮影モード「A絞り優先」や「Mマニュアル」のときにも設定できるようになっており、より、水中撮影に強いカメラになったと言えるでしょう。 「水中ホワイトバランス」に設定
FinePix F80EXRでは、レンズのズーム倍率が、前機種F200EXRの光学5倍ズームから更に進化し、光学10倍ズームになりました。この光学10倍ズームと、M67レンズアダプターベースを介して装着が可能となった2種類のクローズアップレンズを使い分けることで、2つの異なるアプローチのマクロ撮影が可能です。
FinePix F80EXRの望遠側での最短撮影距離は、マクロモード時で約90cmです。水中写真においては、撮影距離が遠くなると、レンズと被写体の間に存在する水の影響から、撮影した画像のコントラストが著しく低下したり、ストロボやライトの光量が不足がちになったりと、あまり良いことがありません。 イノンの「M67レンズアダプターベースFXF80」を介してクローズアップレンズを装着すると、ズーム望遠側での最短撮影距離を縮めることができます。 イノンでは、このクローズアップレンズに倍率の異なる2種類の製品をラインナップしています。 低倍率の「UCL-330」を1枚装着すると、最短撮影距離はレンズ前約23cmと短くなります。臆病で近寄りにくい生物に対して、ある程度の距離を保ったままアップで撮影ができる望遠マクロ撮影ができるようになります。 高倍率の「UCL-165M67」を1枚装着すると、ピントの合う距離はレンズ前11cmとなり、ピントを合わせることができる範囲は1cmと狭くなります。慎重なピント合わせが必要ですが、 ズーム望遠側のままで被写体に大接近し、ウミウシなどの極小の生物を大きく写すことができる、超拡大マクロ撮影が可能となります。 このように、F80EXRは、クローズアップレンズを付け替えるだけで、ズーム倍率の低いカメラではなしえなかった、アプローチの異なる2つのマクロ撮影を自由自在に選択できるようになりました。
クローズアップレンズ無し | ズーム望遠時最短撮影距離 | レンズ前90cm |
低倍率クローズアップレンズ「UCL-330」を装着 | ズーム最望遠(10倍) フォーカス合焦範囲(マクロモードON) | レンズ前23~28cm | ズーム最望遠(10倍) フォーカス合焦範囲(マクロモードOFF) | レンズ前24~32cm |
高倍率クローズアップレンズ「UCL-165M67」 を装着 | ズーム最望遠(10倍) フォーカス合焦範囲(マクロモードON/OFF共に) | レンズ前11~12cm |
春先の風物詩ダンゴウオ(体長約2cm)を、ズーム望遠側 + クローズアップレンズの組み合わせで撮影しました。
クローズアップレンズ無し | 「UCL-330」 x1枚装着
 | 「UCL-165M67」 x1枚装着
 | 「UCL-165M67」 x2枚装着
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FinePix F80EXRには、パフォーマンス設定の中に「AFスピードアップ」という機能があります。ピント合わせの時間が短くなり、素早く撮影ができるようになります。この機能を使うと、バッテリーの消費電力が増えてしまいまが、マクロ撮影に使ってみるのもいいでしょう。
FinePixシリーズは、前機種FinePix F200EXRより、Fモードメニューに「フィルムシミュレーション」という機能が搭載されています。これは、富士フイルム社往年のポジフィルムの銘柄「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」を再現することができる機能です。モードメニューに現れるフィルムのロゴマークまでもが忠実に再現されており、水中フィルム時代を経たユーザーであれば、「昔はずっとベルビアを使っていたけれど、その内プロビアに変えたなぁ」などの古い記憶も呼び起こされることでしょう。フィルム式カメラを使っていた頃は、ベルビアを好んで使っていましたが、F80EXRの設定では、なぜか「ASTIA」モードが一番好みに合いました。年齢によって、好みの作風が変わってきたのかもしれません。
フィルムシミュレーション画像 ASTIA Velvia PROVIA 比較画像
FinePix F80EXRは、前作FinePix 200EXRからレンズを一新し、広角27mmから望遠270mmの10倍ワイドズームレンズを搭載しながらも、高精細な描写力と手のひらサイズのコンパクトボディを実現した、FinePix Fシリーズの最上位機種です。イメージセンサーには、富士フイルム社独自の「スーパーCCDハニカムEXR」を搭載し、高解像度/ワイドダイナミックレンジ/高感度・低ノイズを達成。CCDシフト式のブレ防止機能や、カメラ任せで高画質撮影が可能な「EXRオート」などにより、だれでもより美しく撮影できます。また、撮影中にズーム操作が可能なハイビジョン(HD)動画で、撮る楽しみが倍増。背面液晶には3.0型ハイコントラスト・広視野角液晶モニターを採用し、手を伸ばした姿勢での撮影でも画像の確認がしやすくなっています。更には、「ペット自動検出」と「ペットオートシャッター」などの、ペットのかわいい表情を簡単に撮影できるユニークなものまで、充実の機能が搭載されています。 水中向けの機能としては、撮影モードに「A絞り優先」と「Mマニュアル」があり、絞りやシャッタースピードを自在に操ることで、撮影者の意図を反映させた絵作りができることが、大きな強みでしょう。そして、このFinePix F80EXRからは、撮影モード「A絞り優先」と「Mマニュアル」時に水中モードとほぼ同じ効果があらわれる「ホワイトバランス:水中」が選択できるようになったことや、水中モード設定時に露出補正ができるようになっていたりすることなど、随所に水中使用時にのみ特化した改良が施されています。FinePixというシリーズが、水中撮影用カメラとして、しっかりと進化・成熟していることを、強く感じることができました。
 |  | | M67レンズアダプターベースFXF80 ¥7,800-[税別]/¥8,190-[税込] | L型光Dケーブル・ブッシュW52セット ¥6,800-[税別]/¥7,140-[税込] | L型光DケーブルSS・ブッシュW52セット ¥5,800-[税別]/¥6,090-[税込] |  | |  | クローズアップレンズ UCL-330 ¥13,000-[税別]/¥13,650-[税込] | クローズアップレンズ UCL-165 M67 ¥13,000-[税別]/¥13,650-[税込] | M67レンズホルダーS ¥4,200-[税別]/¥4,410-[税込] |  |  |  | Z-240“Type 4” ¥60,800-[税抜]/¥63,840-[税込] | D-2000“Type 4” ¥49,800-[税抜]/¥52,290-[税込] | S-2000 ¥38,000-[税抜]/¥39,900-[税込] | | |  | 外部オート対応・-0.5白拡散板2 ¥3,000-[税抜]/¥3,150-[税込] | 外部オート非対応・-0.5白拡散板2 ¥1,500-[税抜]/¥1,575-[税込] | シューベースセット ¥5,000-[税別]/¥5,250-[税込] | |  | | グリップベースD4 ¥8,000-[税別]/¥8,400-[税込] | Dホルダー ¥4,000-[税別]/¥4,200-[税込] | Dホルダー延長バー ¥2,100-[税別]/¥2,205-[税込] |  |  | | アームIIシステム | LE240 ¥15,800-[税抜]/¥16,590-[税込] | カラーフィルター・LE セット ¥3,600-[税抜]/¥3,780-[税込] |
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テーマ:水中写真 - ジャンル:写真
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